副業をはじめて最初の壁、確定申告。
確定申告とは、個人が1年間に稼いでもうけたお金をまとめて、そこから各個人が受けられる所得控除を差し引いて国に納めるべき所得税を計算する、1年間の本人の収入の総まとめです。
会社員など1か所からのみの給与の場合、会社が確定申告の代わりの年末調整を行ってくれる為、改めて確定申告をする必要はありません。会社員は月々支払われる給料から概算で所得税が源泉(会社が概算の所得税を月割りで預かって納めてくれている)されて支払われているので、会社で年末調整をすることで改めて1年間の所得税を確定し、その金額と毎回源泉されていた金額とを精算してくれて完結です。給与所得者の所得税は会社が本人に代わって納めてくれるのです。
しかし、自営業の方や会社員の他に副業をしていたり、不動産賃貸収入があったり、土地建物を売却してリ、、と給料以外の収入がある場合は、確定申告をすることによって、その1年間の所得をきれいにまとめてその1年間の所得税を算出して国に納めなければなりません。
確定申告の流れ ざっくりこれ!
1.確定申告の期間を確認
2.自分の所得の種類を把握する
3. 各所得の金額をだして、確定申告が必要かを考える
4.自分が受けられる所得控除を考える
5.所得税を計算する
6.税額控除をする
7.先払い分を差し引く
8.申告する・納付する
以下それぞれ見ていきましょう。
1.確定申告の期間
ご存じ確定申告書の提出期間。提出期間は毎年2月16日~3月15日までの1か月間が原則で、それぞれの日付が土曜・日曜・国民の祝日・休日にあたる場合は、翌日(または翌々日)の月曜日が期限日になります。なお納付期間も同じ3月15日までです。
ただし、払いすぎた税金の還付ための「還付申告」は例外です。この場合は、1月1日から申告が可能です。また3月15日までという縛りもなく、申告可能になった日から数えて5年以内であれば、いつでも還付を受けることができます。しかし還付申告は必ずしないといけないものではありません。
2.所得の種類を把握する
確定申告に取り掛かる一番はじめにすることは、自分は何の種類の収入があるかを把握することです。所得税は所得を10種類に分類して計算するので、私の収入は何の所得に該当するのかを考え分類しましょう。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
基本的にお金が動けば税金がかかる仕組みになっていますので、お金が入ってきた場合すぐにこれは何の所得に該当するのかを考えておくといいでしょう。
例えば毎年年末調整のみですんでいた会社員の方が掛けていた学資保険をその年に満期で一括もらった場合、満期保険金から支払保険料の差額が50万円を超える場合一時所得になります。その年は、一時所得があるので確定申告が必要になるという事です。
3.各所得の金額をだして、確定申告が必要かを考える
上記で自分の収入について分類できたのなら、それぞれの所得を計算します。
しかし、この時以下の場合に当てはまるときは確定申告をしなくても大丈夫です。
(1)会社員の場合
- 2ヵ所以上からの給与があり、確定申告が必要?と思うかもしれませんが、主たる給与収入において「年末調整」をしていて、なおかつ「従たる給与」の収入合計が20万円以下の場合(主たる給与とは「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している方をいいます。)は、確定申告をしなくても大丈夫です。
- 副業による事業所得や土地やアパートを賃貸して得た所得(不動産所得)、不動産などを売却して得た所得(譲渡所得)等の所得合計が20万円以下の場合(ただし、合算できない所得もあります。)も、確定申告をしなくても大丈夫です。
※しかし、医療費控除、ふるさと納税等の寄付金控除などを受けてさらなる還付を受けるために確定申告をする場合は、上記も含めて確定申告をします。
※市区町村に支払う住民税に関しては、20万円ルールのような特例措置はありません。住民税は、別に申告しなくてはなりません。
確定申告は所得税額を算出して申告するものですが、この確定申告の情報はそのまま市区町村に送られます。住民税は所得に応じて加算されるため、確定申告の情報をベースに決まります。しかし、20万円ルールにもとづいて確定申告をしなければ、自治体に必要な情報が届きません。そのため、本来は納めなくてはならない住民税を、納め忘れてしまうことが起こります。
確信犯的に納税しない方はほとんどいないはずですが、これも脱税行為にあたります。確定申告をしなくても良い場合でも、少しでも収入があれば、住民税の申告を忘れないようにしましょう。
(2)会社員以外の場合
- 個人事業やフリーランスの方が得た所得(事業所得)、土地やアパートを賃貸して得た所得(不動産所得)などの合計が所得控除額以下の場合は確定申告をしなくても大丈夫です。。
ただしデザイナーなど報酬の支払時に所得税を源泉されている方々は、確定申告をすることによりその源泉税が還付されますので、確定申告をして還付をうけましょう。 - 公的年金等受給者で、公的年金等にかかる雑所得から所得控除額以下の場合も確定申告をしなくても大丈夫です。
このように、今年の収入は何の所得に当てはまるのか?
それぞれあてはめた所得金額を算出してあげて自分は確定申告が必要か?不必要か?確定申告をした方が得か?そうではないか?など、考えます。
4.自分が受けられる所得控除を考える
それぞれの所得を算出したならそこから各納税者の個人的な事情や個々人の経済力など一定の要件にあてはまる場合には、所得控除として差し引くことが出来ます。それぞれ受けられる所得控除を認識して、所得控除を受けられるための控除証明書などを用意しておきます。
所得控除
- 基礎控除
- 社会保険控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 障碍者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 寄付金工場
以上の控除のうち、雑損控除、医療費控除、寄付金控除は給与所得者は年末調整では受けられませんので、改めて確定申告が必要になります。
5.所得税を計算する
ここまで来たならあと少し。
総合課税の事業所得、不動産所得、給与所得、譲渡所得などを合計した合計総合所得から繰越損失、雑損失控除を差し引いた総所得金額から所得控除を引いてあげて、それに税率をかけて所得税を計算します。
また分離課税については、それぞれの税率にて計算します。
6.税額控除
そしていよいよ、税額控除です。代表定的については、住宅ローン控除。
税額控除とは、所得税額から一定金額を控除するものです。
先に述べた所得控除との違い、その名のとおり税額から控除するので、目に見えてお得感があります。
7.先払い分を差し引く
所得税額から自分が使える税額控除を行えばいよいよに納付!と思いきやもう一つ確認があります。
それは、すでに支払っている税金分を今年の確定額から差し引いてあげる事です。
例えば源泉徴収票の右上あたりに源泉徴収税額というところがありますが、そこに記載されている数字は、すでに会社で自分の所得税を納めていてくれているものなので、確定申告で計算した所得税から引いてあげます。他にも、年金や原稿料や講演料、公認会計士、税理士、司法書士など支払うときに源泉徴収せれる報酬等は法律で定められていますので、納めるときにはその分を差し引いてあげてください。
もちろん予定納税をしたのであればその分も差し引いて納めます。
8.申告する・納付する
最後です。
申告書が完成したら確定申告書を税務署に提出をして、計算された所得税額を銀行・コンビニ等で支払って終了です。お疲れさまでした。
税務署への確定申告の提出の仕方は、電信申告、郵送、持参など様々な方法があります。ただし事業所得、不動産所得の青色申告の特典である65万円控除を受けるには電子申告が必要(要件を満たさないと55万円控除)などの要件もありますので、各自自分にあった提出をしてください。
納付の仕方も、振替納税、e-Taxで納付、クレジットカード、QRコードによりコンビニエンスストアで納付、金融機関又は税務署の窓口で現金で納付と様々あります。
まとめ
一つ一つ掘り下げていくととても長くなっていしまうので、今回は簡単に流れだけに焦点をあてて説明しました。
一連の流れがとても長いように思えるかもしれませんが、慣れてしまえば難しくありません。
一つ一つの過程をクリアして申告、納付が終わるととても壮大な爽快感を感じられると思います。
まるで学生時代のテスト期間の最終日の夜のような気持ちでしょうか。
そんなゴールを目指して確定申告、頑張りましょう!